塾講師が教える!中学生の学習に役立つ国語辞典の選び方をご紹介

今回のコラムは小学生~大人まで何かと使うアイテムの一つ、『国語辞典』をテーマにしたいと思います。国語辞典を活用することで、言語を正しく理解し、より学習の理解を深めることができるようになります。そのためにも、しっかりとした国語辞典を用意する必要があります。

現在は紙の辞書に加え、電子辞書もポピュラーなものとなりました。また、書店に行けばさまざまな辞書が並んでいます。紙の辞書と電子辞書どちらを選ぶべきなのか、またどのように辞書選びをすればいいのかなど、今回は塾講師の立場から、国語辞典の選び方・使い方などについて解説し、また、塾講師の立場から小中学生におすすめの国語辞典を紹介していきたいと思います。

紙の辞書と電子辞書、どちらを選ぶべき?

結論:どちらにもメリット・デメリットが。両方をケースバイケースで使い分けるのが理想的

新しい国語辞典の購入を考えたときに多くの人が悩むのは「紙の辞書」がいいのか「電子辞書」がいいのか、ではないでしょうか。近年の電子辞書は内蔵されている辞書の数が膨大なものもあり機能も豊富、かつ価格は一昔前より随分とリーズナブルになりました。

現在では電子辞書を愛用する生徒さんも非常に多いです。では、紙の辞書と電子辞書、実際どちらがいいのかを考えてみましょう。

紙の辞書と電子辞書には、どちらにもメリット・デメリットがあります。紙の辞書の方は分厚くて重たいですので、バッグの中でもかさばりますし、持ち運びの面では電子辞書より不便です。自分でページをめくってページの中から目的の用語や事柄を調べるので、調べるのには時間を要します。しかし、自分で時間をかけて調べた分だけ、頭にインプットされやすくなる点は大きなメリットだと思います。調べたページに直接筆記したり、蛍光ペンを入れたり、付箋を貼ったりできるのも外せないポイントです。

一方で、電子辞書はキーボードやタッチペンなどでパッと入力することで、時間をかけずに調べることができる点、小型・軽量ですので持ち運びは非常にラクな点などは魅力です。しかしその反面、電子機器であるが故、目的以外の辞書や辞書以外の機能などが付いている点など、いざ使うときに集中力の妨げになりかねない点はデメリットと言えるでしょう。

やはり結論としては、紙の辞書と電子辞書、両方の辞書をケースバイケースで使い分けることができれば理想的だと思います。

国語辞典の使い方・選び方のコツとポイント

「知らない言葉、気になる言葉は辞書で調べる」この習慣を作ろう

さて、国語辞典を買ったのに全然使ってない、という生徒さんも意外と多いのではないでしょうか?せっかくの道具ですから使わないと勿体ないのですが、国語辞典を活用できていない大きな原因は、おそらく「どのタイミングで使えばいいかわからない」からだろうと思います。

実際、大人でも正しい国語辞典の使い方ができるか?と聞かれると、自信がないと言う方も多いでしょう。また、小中学生に限らず大人でも、普段使っている言葉の中にも、表記や用法まで自信を持って説明できる言葉というのは、多いようで案外少ないと思います。

国語辞典の正しい使い方の基本としては、正しく言葉を理解するために「気になる言葉が出てきたら辞書で調べる」のが一番です。かつ、知らない言葉を日常的に辞書で調べる習慣を身につけておくことです。

そう考えると私たち大人でも、調べる言葉は結構出てくるはずです。日常的に辞書で言葉を調べて覚える習慣を身につけることができれば、確実に『語彙力』は底上げされます。これは年齢問わず確実に身につく能力と言えます。

また、辞書を引いて調べることの大きなメリットは、単語の意味だけでなくその単語の「用例」や「慣用句」まで一緒に学び、理解することができる点です。単純に調べたい単語の意味だけではない「+α」を知ることで、さらに語彙力を高めることができます。

言葉は時代と共にアップデートされる=国語辞典は最新版を使うのが◎

国語辞典の入手方法としてよくあるのが「人のおさがりを貰う」というパターンです。おさがりを貰うとわざわざ辞書を買わなくて済みますし、辞書は学年をまたいで長く使える、と考えるとありがたいものです。しかし、塾講師の意見としては、同じ辞書を長く使い続ける、というのはあまりおすすめはできないものです。

その理由は「言葉は生き物である」からです。言葉というものは日々変化しています。新しい言葉「新語」も日々生まれ、当たり前に使われるようになっていったりします。つまり時代と共に、私たちが使う言葉は少しずつ『アップデート』されているということです。古い辞書には当然これらの新語は載っていません。載っていない言葉はその辞書では調べられません。ですので「言葉は生き物」と思って、国語辞典は最新版を買って使うことをおすすめします。

また理想を言えば、2冊以上の国語辞典が手元にあるとより良いです。これはなぜかと言うと、実際にある単語を引いてみても、2冊の辞書で書いてあることは大体同じ、だと思われがちなのですが、実は辞書によって説明や表現の仕方は異なっているものです。なので、1冊の辞書で100%理解するのではなく、疑問が残る言葉が出てきた場合に、2冊以上の国語辞典で比較し、説明のニュアンスや用例の分かりやすさなどを比較して学ぶとベストでしょう。

収録後が多い国語辞典=良い国語辞典、とは限らない。自分に「しっくりくる」辞書がベスト

さて、国語辞典では『収録語数』の多さをセールスポイントしている辞書もあります。実際国語辞典を購入するときに「何万語載っているか」を基準に選ぶ、と言う方も多いでしょう。辞書のスペック、というと少しおかしいかもしれませんが、辞書同士を比較するのに使える具体的な指標が、収録語数ぐらいしかないという点も否めません。

収録後数で辞書を選ぶ、というのは決して間違った選び方ではないはずです。常識的に考えて、収録語数が多いということは、それだけ調べたい言葉が載っている確率が高くなるはずだからです。

難しいのは、仮にAの辞典が10万語、Bの辞典が8万語だとします。収録語数はAの辞典の方が2万語多いのですが、だからといって、B辞典に掲載されている言葉が全てA辞典に含まれているわけではない、という点です。Bの辞典の方にしかない「独自項目」というのも案外多いのです。

ですから、一概に収録語数の多い辞書が必ずしも良い辞書である、とは言い切れない点もあります。辞書を選ぶときには収録語数だけに捉われず、共通の単語を引いてみたときに、書いてある説明や用法・慣用句など「辞書の個性」を見て、自分がしっくりくる辞書を購入する方が、実際に辞書を活用していくことを考えると正しい選び方ではないか、と思います。

中学生にもおすすめ!塾講師が選ぶ国語辞典をご紹介

では最後に、具体的にどんな国語辞典を選んだらいいのか迷ってしまう方に、中学生におすすめの国語辞典を数点ご紹介したいと思います。辞書選びの参考にしてもらえれば幸いです。

ちなみにお勧めの順位はありません。実際に書店などで手にとって選んでみてください。

おすすめ1:シンプルで使いやすい!ベーシック「岩波国語辞典」(岩波書店)

おすすめの国語辞典の1冊目は「岩波国語辞典」です。累計部数は日本で一番ともいわれるトップセラーの国語辞典です。現代語を中心に約6万7000語を収録。語のつながりや使い方を示す豊富な用例と独自の語類が表示されており、言葉への理解が深められるように工夫されています。シンプルで使いやすい国語辞典です。はじめの1冊としては非常に適しているといえます。

おすすめ2:現代語に強く説明が分かりやすい!『三省堂国語辞典』(三省堂)

おすすめの国語辞典の2冊目は『三省堂国語辞典』です。通称「三国」とも呼ばれる定番中の定番の辞書の一つです。三省堂国語辞典の特徴として「現代語の強さ」が挙げられます。メディアで使われている言葉、世の中の動きの中で使われている言葉の収録語数が豊富で、語釈にも定評があります。比較的わかりやすく説明されているので、言葉から事象のイメージがしやすい点も、中学生が持つ国語辞典に適していると言えます。

おすすめ3:読んでいて面白い!人間的な語釈で飽きがこない『新明解国語辞典』(三省堂)

おすすめの国語辞典の3冊目は『新明解国語辞典』です。この辞書の魅力は「飽きがこない面白さ」です。辞書に面白さがあるの?と思われるかもしれませんが、新明解国語辞典は語釈が実に人間的であり、言葉が実社会でどういうニュアンスで使われているか?に配慮されています。語源についても他の辞書よりも記述が豊富で、見ているうちに言葉についてのウンチクがどんどん蓄積されます。飽きっぽい生徒さんには特におすすめの国語辞典です。

今回のまとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は受験勉強にも欠かせないツールである『国語辞典』をテーマに、使い方や選び方、おすすめの国語辞典などについて触れてきました。

受験勉強という観点だけでなく、日本人として日本語への理解を深め、正しい言葉の使い方ができる、ということは大切なことだと思います。そういう意味でも国語辞典は勉強のためだけではなく、日常的にも活用できる便利なツールです。

知らない言葉、わからない言葉は辞書で引いてその言葉に触れることで語彙力を高める、そのような習慣を身につけておくと、実生活においても非常に役に立つことでしょう。